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大阪地方裁判所 昭和46年(ワ)2147号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕二 責任原因

請求原因第二項(一)、(二)の事実は当事者間に争いがない。

そこで、訴外人の過失の点について検討すると、本件事故は、東西に通ずる道路と南北に通ずる道路とが十字型に交差する交差点内において、前者の道路を東から西に向つて進行して来た被害車と後者の道路を北から南に向つて進行して来た加害車とが衝突することにより惹起されたものであることはすでに述べたとおりであるところ、<証拠>によれば、右交差点は、交通整理の行われていない交差点であつて、左右の見とおしも不良であり、被害車の進行して来た道路から交差点内に進入するに際しては、一時停止するよう指定されていたこと、本件事故当時右交差点の加害車が進行して来た道路側の交差点入口付近には一台のタクシーが停車していて、加害車にとつては被害車の早期発見を、また、被害車にとつては加害車の早期発見をそれぞれより困難にしていたこと、加害車を運転していた訴外人は、右停車中のタクシーの傍らを通り右交差点に進入しようとした際自車より遅い低速度で右交差点に進入をはじめていた被害車を発見したが、彼我の位置および速度の関係から、被害車より先きに交差点を通過できるものと軽信し、ここに徐行もせず、ハンドルを若干右に切つて被害車の前部をかすめ通過しようとしたところ、予期に反し自車の左側フエンダー付近から前後扉付近が被害車前部に接触してしまい、ここに、交差点を通過してかなりの距離を進行した地点で停車し、また、原告は、加害車と接触する瞬間までこれに気付かず、加害車と接触するとほぼ同時にその場に停車するに至つたことがそれぞれ認められる。

さて、右に認定したところによれば、訴外人は、加害車を運転し左右、特に左の見とおしが極めて悪く、しかも、交通整理も行われていない交差点に進入しようとしたのであるから、右交差点に進入するに際しては、あらかじめ少くとも徐行して左右の安全を確認しなければならなかつたにもかかわらず、これを怠つたものとして本件事故の発生につき過失の責を負わされるのは当然であり、なお、このことは、被害車において右交差点に進入するに際し一旦停止して左右の安全を確認する義務があつたことにより結論を左右されるものではない。

そうすると、被告は、原告の被つた人損のみならず、物損についてもすべてこれを賠償する責任がある。<中略>

六 過失相殺

第二項において認定したところによれば、被害車を運転していた原告は、本件事故発生地点である交差点の手前で一旦停止したうえ、訴外人の場合と同様左右の安全を確認し、もつて交差点内に進入をはじめるとともに、さらに、当時加害車の進行して来た右側道路の交差点入口付近には停車中のタクシーがあり、同方向の見とおりが極めて悪くなつていたのであるから、交差点内に進入をはじめた後も特に同方向については十分な注意を払つて進行する義務があつたものということができるところ<証拠>によれば、原告は、右交差点の手前で一旦停止し、左右の安全を確認したうえ徐行しながら交差点内に若干進入し、そこで再び停止し、先きに停車中のタクシーに遮られて確認することができなかつた右側道路の安全を確認したうえ発進をはじめた直後本件事故に遭遇したというのである。ところで、原告において加害車に接触される瞬間まで加害車の接近に気付かなかつたことはすでに認定したとおりであるが、<証拠>によれば、本件交差点においては、かりに加害車が高速度で進行して来たとしても、一応の注意を払つていてなお被害車と接触する瞬間までその接近に気付くことができないという特別の障害が存したことを首肯するに足りる事情は全然見当らないから、原告において安全確認のため再度にわたり停止したとの前記供述部分にはいささか疑問が残らないわけではなく、また、右供述がかりに事実であるとしても、原告において加害車に接触される瞬間までこれに気付かなかつたという事実が存する以上、原告のした安全確認は形式的なものにすぎず、真の意味の安全の確認はこれを怠つたものであるとのそしりは到底免れることができないものである。

そうすると、本件事故については原告にも過失があつたものといわなければならず、その過失割合は、右事情にすでに認定した本件交差点においては原告の進行して来た道路側に一時停止の規制があつたこと、訴外人において被害車が交差点内に進入しつつあるのを発見したにもかかわらず、その前部をかすめて先きに交差点を通過しようと考え粗暴な運転を行つたこと等諸般の事情を斟酌すれば、原告側一に対し被告側四と認めるのが相当であり<以下略>。 (小酒礼)

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